極上御曹司のイジワルな溺愛

雅苑は年末年始も基本休みではない。年末年始に結婚式を挙げていけない、という決まりはないが、実情避ける人が多い。

年末はイベント事や年越しの準備、年明けは家族や親戚と落ち着いて過ごしたいという人も多く、招かれる側のことも考えることが大切だ。

そして雅苑の年末年始も言うに及ばず、挙式披露宴はひとつも予定されていない。

私も十二月三十日から一月三日まで休みになった。

あと三つのMCをこなし年明けの準備と確認をすれば、蒼甫先輩と迎える初めての年明けだ。

「あぁ、いろいろと楽しみ!」

体を起こし両腕を上げると、大きく背伸びをする。

「明日の出勤は昼からだったよね?」
「午前中に蒼甫先輩と一緒に、薫さんと里桜さんを見送りに空港まで行ってくる」

新作発表会や新作の搬入のことなど一通りの打ち合わせを済まし、一度帰国することのなった。

アメリカで里桜さんのご両親と暮らしている奈々ちゃんのこともあるし、今後のことも含め、あっちで話し合いをするそうだ。

「私も遠山さんが作ったウエディングドレスを着て、結婚しようかしら」
「はぁ!? なに、それってどういうこと? 麻奈美、もしかして……」
「プロポーズされた。毎日そばに居たいんだってさ」
「何よそれ、のろけ? でも良かったじゃない、麻奈美もとうとう奥さんになるのね」

頬をピンクに染めて照れくさそうにしている麻奈美を、ギュッと抱きしめる。



< 245 / 285 >

この作品をシェア

pagetop