極上御曹司のイジワルな溺愛
「一年の最後に、こんな素敵なことが起きるなんて思わなかった。麻奈美、幸せになってね」
「椛……ありがとう。でもまだ気が早いよ。プロポーズ受けただけだし、まだなんにも決まってない」
それでも嬉しいものは嬉しいと麻奈美を何度も抱きしめていると、スタッフルームのドアが開く音に顔を上げた。
「椛、いるか?」
「あ……蒼甫先輩」
慌てて麻奈美から離れると、小走りに蒼甫先輩へと近づく。
「おかえりなさい。早かったんですね」
「神戸店の準備が良かったからな。話がスムーズに進んだ。ところで、なんで遠山さんと抱き合ってた?」
「ああ、それは……」
話してもいいかと麻奈美を見れば、オッケーと頷く。
「麻奈美がプロポーズされたんです」
「へぇ、それはめでたいな。遠山さん、おめでとう」
スタッフルームが、穏やかな空気に包まれる。
相手が雅苑と契約している音響会社の誠くんだと知り、蒼甫先輩も最初は驚いていてけれど。アイツは若いがしっかりしているから大丈夫だなと太鼓判を押してくれた。
「じゃあ挙式披露宴は是非雅苑で、だな。社員割引で安くしておくよ」
「ええ~、そこはタダでって言ってくださいよ~」
麻奈美の言葉に笑顔の花が咲き、そのままお祝いムードがしばらく続いた。