極上御曹司のイジワルな溺愛
「私、そんなにヒドい顔してる?」
「ヒドいってことはないけど、疲れてるって顔に書いてある。これウバっていうセイロンティー。リラックスや疲労回復効果があって、ミルクティーがオススメなんだって」
ありがたく一口飲むと、深いコクとフルーティーで爽やかな香りが身体中に染み渡る。
「やっぱ麻奈美が淹れてくれた紅茶が、一番美味しいわ」
ちょっと言い過ぎ感はあるが嘘じゃない。麻奈美のその心遣いが嬉しくて、少しだけ笑顔が戻る。
「何言ってるのよ。褒めたってなんにもでないからね。じゃあ後で」
ホッとしたような顔を見せた麻奈美は、ミーティングの前にひとつ仕事があるとスタッフルームから出ていった。
いい歳をした大人の女がひとり暮らしもロクにできなくて、心配かけているとか情けない。
「しっかりしなきゃね」
良い香りに誘われて、紅茶をもう一口飲む。
こんなことでへこたれている場合じゃない。
私もミーティングに必要な資料と筆記用具を手に取ると、麻奈美の後を追うように会議室へと向かった。