極上御曹司のイジワルな溺愛
それでもなんとか打ち合わせも終わり、お客様も笑顔で帰っていかれたから良かったけれど。
「やっぱ、しんどい……」
何がどうというわけではないが、気力がわかない。自分で自分がコントロールできないなんていうことは、生まれて初めてだ。
テーブルの上を片付けファイルを小脇に抱えると、サロンを出る。
少し重たい頭を抱えながら廊下を歩いていると、前から副社長がこっちに向かってくるのが見えた。
今は会いたくないな──
そう思い踵を返すそうとした、その途端。
体が宙に浮くような感覚に襲われ、視界がぼやけていく。なにこれ? と思う間もなく倒れかけた瞬間、「椛!?」と駆け寄ってくる副社長の姿が見えた。
「……先輩……」
その言葉を最後に、私の意識は途絶えてしまった。