極上御曹司のイジワルな溺愛

麻奈美に手伝ってもらって体を起こすと、さぁ話してもらおうじゃないとその顔をじっと見つめた。

「はいはい、わかりました。一度しか言わないから、よく聞いてね。椛、あんたをここまで運んだのは……」

「運んだのは?」

「さっきまでここにいた、副社長」

「……副社長。そ、そう……」

言葉をなくす──とは、まさにこのこと。

「倒れ込む瞬間血相を変えて走ってきた副社長が椛を抱きかかえると、そのままお姫様抱っこして医務室まで運んでいった。って、そばにいたスタッフの子から聞いた」

「お姫様抱っこ……」

「王子様みたいでしたよぉ~って目をキラキラさせて話してくれるもんだから、苦笑いしかできなかったよ」

王子様が、お姫様抱っこ。

しかもその後の行動も素早く、すぐに雅苑がお世話になっている医者を呼び診察をさせ、その後いっときも私のそばから離れなかったと言うのだから驚くほかない。



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