極上御曹司のイジワルな溺愛
「だからさ。なんで帰るんだよ。ここで暮らせばいいだろ」
副社長がもう一度私の腕を掴むと、ふたりの視線が絡み合う。
「でも……」
「つべこべ言うな、これは副社長としての業務命令だ」
「業務命令って。そんなの公私混同じゃないですか!」
「また倒れられても困るからな。これからは俺がここで、お前の体調管理と家事全般を叩き込んでやる」
だからこれは業務命令だ──
こんなときに副社長を使うなんてズルい。しかも業務命令なんて、会社の一従業員が断れるはずないじゃない。
「副社長、そんな勝手なことを……」
「よし、もうこの話はおしまい。明日荷物を運び入れるんだろ? さっさと寝ろよ」
掴んでいた腕をパッと解き、副社長はダイニングを出ていってしまう。