極上御曹司のイジワルな溺愛
「あのですね、副社長?」
「今はプライベートだ、副社長はやめろ。学生の頃と同じ呼び方でいいぞ」
「ですけど……」
「口答えするつもりか?」
目を細めギロリと睨むその顔の、迫力は満点。
たかがどう呼ぶかでそんなに睨まなくてもいいのにと思う反面、付けてるエプロンが花柄だからどうにも笑いが込み上げる。
「わ、わかりました。蒼甫先輩……これでいいですか?」
「ああ、やっぱりそう呼ばれる方がしっくりくるな」
「はい、そうですね」
蒼甫先輩の言う通り、ホントしっくりくる。なんで今まで些細なことにこだわっていたのかと思うほど、不思議なくらい呼びやすい。
味噌汁をテーブルに運ぶと、白いご飯が盛られた茶碗を蒼甫先輩が持ってきてくれる。
「もしかしてこれ全部、蒼甫先輩が作ったんですか?」
「当たり前だ。俺以外に誰がいる。まあ惣菜の中には千夜さんが作ったのもあるが、今ここにあるのは全部俺が作ったものだ」
そう言って蒼甫先輩はドヤ顔を見せるが、これに関してはドヤ顔をされても文句を言えそうにない。