極上御曹司のイジワルな溺愛
「先輩、何か用事でもあるんですか?」
憂鬱でも食欲はあるもので。きんぴらごぼうをつまみながらそう聞けば、蒼甫先輩は呆れたように私を見た。
「荷物運ぶんだろ? 車を出してやるって言ってんだよ」
言ってんだよって、今聞いたし。
私から頼んだわけじゃないのに、さも私が悪いような言い方は心外だ。
でも蒼甫先輩は一緒に行く気満々で、朝食を食べながらブツブツ何かを言いながら今日のことを考えているようだった。
「先輩。気持ちはありがたいんですけど大した量の荷物じゃないし、ひとりで大丈夫です」
いや、ひとりがいいんです!
荷物は本当に大したことないんだけど、如何せん部屋の中が……。
あんな部屋を先輩が見たら、今後の私の立場が非常に危ないわけで。料理だけじゃなく掃除や洗濯まで、手取り足取り仕込まれるのが目に見えている。