極上御曹司のイジワルな溺愛
頭の痛さに目を覚ます。そこは見慣れた自分の部屋。
「……眩しい」
カーテンを閉じ忘れた窓からは日光が差し込み、綺麗な青空が見えた。
うん? たしか私は昨晩、麻奈美と居酒屋で飲んでたはず。それがなんで自分の部屋にいて、外はこんなに明るいの?
重たい体をゆっくり起こし机の上の時計を見れば、午前九時を少し回ったところ。
仕事が休みならもう少し寝ていたい。でもいかんせん今日は午後から、一組のカップルとの打ち合わせが入っていた。
さっきから何度も襲ってくる吐き気と戦いながらベッドから立ち上がると、ガツンと痛む頭を押さえ一階へと降りる。
「おはよう……」
庭で洗濯物を干している母に声を掛けると、振り向きざまに怪訝そうな顔を私に向けた。
「おはようって椛、もう九時回ってるじゃない。それにあんた、昨日の夜のこと覚えてる?」
お母さん、覚えてるって……。
お恥ずかしい話だが、昨晩みたいなことは昨日が初めてじゃない。そんな私にいちいち「覚えてる?」とか、聞く方も聞くほうだと思うけど。
小さく首を振り覚えてないことを伝えると、そんな私を見て母は大きな溜息をついた。