極上御曹司のイジワルな溺愛
「先輩、紳士服売り場に行ったじゃないですか? どうして、ここに?」
「俺が見立ててやったスーツだからな。似合うかどうか気になるのは当然だろう。さっさと出てこい」
さっさとって……。
そう急かされると、出て行きにくいんですけど。
一旦試着室の中に引っ込み、スーツ姿を整える。
「変なところはないよね?」
鏡の前でくるりと一周して確認を終えると、試着室のドアを開けた。
「ど、どうでしょうか?」
蒼甫先輩の前にうつむき加減で立ち、ちろりと上目遣いに先輩の顔を窺う。
私のことをじっと見つめる瞳に見定められているようで、なんとも言えない緊張感に包まれた。
手汗で、手がビショビショなんですけど……。
でもやっぱり似合っていると言ってほしいのが、女心というもの。辛抱たまらず目をギュッと閉じると、蒼甫先輩の反応を待った。