極上御曹司のイジワルな溺愛

「うん、いいな。良く似合ってる」

嬉しさにパッと目を開け、蒼甫先輩を見上げる。すると先輩は顎に手を当て、満足そうに微笑んだ。

「椛に合うスーツを瞬時に見つける俺って、さすがだと思わないか? これは天性だな」

そう言いながら高笑いする蒼甫先輩に、言葉をなくす。

そう来たか……。

まあでも蒼甫先輩が似合ってると言ってくれたということは、それを着ている私も全部ひっくるめて良いと勝手に解釈。

着心地もいいし、何より私自身も一目惚れしたスーツ。どうするか迷うこともない。

「このスーツにします」

「ああ、そうしろ」

値段は少々張るが、致し方ない。すぐにダメになるようなものでもないし、長く使うことを考えれば良い買い物だ。

試着室に戻り私服に着替えると、スーツを持って外に出る。

「待たせてしまって、すみません」

蒼甫先輩にそう言うと、先輩は私が持っていたスーツを「貸せ」と取り上げてしまう。



< 93 / 285 >

この作品をシェア

pagetop