極上御曹司のイジワルな溺愛
「うん、いいな。良く似合ってる」
嬉しさにパッと目を開け、蒼甫先輩を見上げる。すると先輩は顎に手を当て、満足そうに微笑んだ。
「椛に合うスーツを瞬時に見つける俺って、さすがだと思わないか? これは天性だな」
そう言いながら高笑いする蒼甫先輩に、言葉をなくす。
そう来たか……。
まあでも蒼甫先輩が似合ってると言ってくれたということは、それを着ている私も全部ひっくるめて良いと勝手に解釈。
着心地もいいし、何より私自身も一目惚れしたスーツ。どうするか迷うこともない。
「このスーツにします」
「ああ、そうしろ」
値段は少々張るが、致し方ない。すぐにダメになるようなものでもないし、長く使うことを考えれば良い買い物だ。
試着室に戻り私服に着替えると、スーツを持って外に出る。
「待たせてしまって、すみません」
蒼甫先輩にそう言うと、先輩は私が持っていたスーツを「貸せ」と取り上げてしまう。