極上御曹司のイジワルな溺愛
それは素材がシルクで光沢の綺麗な、幅広のストライプ柄がクラッシックな印象を与えるネクタイ。見た瞬間、これを付けている蒼甫先輩の姿が想像できて、それを手に取ると何度か蒼甫先輩と交互に見る。
「うん。やっぱり先輩のイメージにぴったり」
そう言って蒼甫先輩の首元にネクタイを合わせると、先輩は少し驚いたような顔を見せた。
「な、なんだよ」
「先輩、素敵なネクタイをたくさん持っているとは思いますけど、これもその中のひとつに加えてもらえますか? 今日のお礼です」
「マジで?」
蒼甫先輩は「はい」と頷く私の手からネクタイを取ると、鏡の前に立つ。気に入ってくれたのか、その表情はまんざらでもないように見える。
なのに先輩は、
「椛にしては、いい見立てなんじゃないか」
なんて憎まれ口を叩くから、ホント可愛くない。
でもそう言っている顔がいつになく嬉しそうで、何故か胸がドクンと高鳴る。