ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~

「抱いて。お願い。前のように」
 義務を果たさなくては。
 彼らクローンが受けている苦しみと同じものを受けなければ、自分は壊れてしまう。
 苦痛を感じれば、少しでも償えるかも知れない。
 だが、フジオミは、シイナの望みを叶えてはくれなかった。
 泣きじゃくる自分を優しく抱きしめてくれるだけ。
「今は、抱かない。でも、今夜はずっとこうして君を抱きしめている。君が望んでくれるなら、ずっと。
 愛してる、シイナ。君だけだ」
「――」
「ずっと君の傍にいるよ。決して君から離れたりしない」
 抱きしめる腕が、伝わる温もりが、いっそう自分を惨めにする。
 違う。
 そうじゃない。
 愛してほしいんじゃない。
 滅茶苦茶にしてほしいのだ。
 以前のように。
 世界の全てを、呪っていたあの頃のように。
 生ぬるい世界で、結局は独りよがりな苦しみを抱えて生きてきた。
 全てが、崩れていく。
 残ったのは、惨めな自分だけ。
 信じてきた全てが壊れ、取り戻す術がない。
 今となっては、何が真実だったのか。
「……」
 言葉にならない苦しみに、嗚咽が漏れる。
 フジオミの愛情が、苦痛となってこの身を苛む。

 義務さえないのに、どうして、今更優しくするの。
 いつまで、この責め苦のような愛情は続くの。

 それすらも失ったら、これから何を信じて、生きていけばいいのか。
 わからない。
 もう何も。

 ああ、いっそ――
 死んで、しまいたい――












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