ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~
22 初めての交歓
唇が柔らかく押しつけられるのを、フジオミは驚愕とともに感じた。
「シ、シイナ!?」
とっさにシイナから顔を離す。
だが、頬を押さえるシイナの手は離れていない。
あまりの驚きに、フジオミはただ、シイナを凝視するしかできなかった。
シイナは羞恥で頬を染め、フジオミから視線をそらした。
「……どうすればいいか、わからないわ」
震える声で、それでもシイナは言葉を探していた。
自分の気持ちが、正直にフジオミに伝わるように。
そんな様子が、彼の劣情をさらに煽ることに気づきもしないで。
今のシイナは自身の葛藤で手一杯だった。
だが、フジオミはシイナの行動や表情から、シイナの心の内を察した。
シイナは欲情している。
自分を求めているのだ。
仄暗い歓喜と驚愕と恐怖が、フジオミを動けなくする。
今まで一度として、彼女から求められたことなどなかった。
彼女は自分が乱暴に奪った初めての時から、常に、セックス自体を嫌悪し、一度として快楽を感じることなどなかったのだから。
シイナにも自分を求めて欲しい。
ずっとそう思っていた。
だが、今現実に彼女に求められ、困惑している自分がいる。
そこに、愛があるならいい。
だが、それが以前の自分のように、シイナにとってもただ欲望を吐き出すためだけの行為に過ぎなかったら――?
今の自分が、彼女が、それを受け入れ、生きていけるのか。
今まで築いてきた関係をなし崩しに白紙に戻すようなことは、フジオミには出来なかった。
だからこそ、言葉を返すこともできず、ただ、シイナを凝視するほかなかった。