ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~

23 生と死


「シイナ、起きて、シイナ」
 肩を優しく揺すられて、シイナは目を覚ました。
「……フジオミ……?」
 フジオミは、すでに身支度を整え、ベッドの脇に腰掛けてシイナを見つめていた。
「起こしてごめん。でも、研究区の医局からエマージェンシーがかかっていたんだ」
「エマージェンシー?」
 フジオミは、シイナに着替えを差し出した。
「君の着替えを取りに部屋へ行って気づいた。端末も持ってきた」
 そう言うと、フジオミはシイナに背を向けた。
 シイナは起きあがり、ベッドの上で急いで服を身につける。
「着替えたわ。端末を」
 背中を向けたまま、フジオミは膝の上に置いていた端末をシイナの方へと置いた。
「――」
 端末を開きながらも訝しく思う。
 どうして、こちらを見ないのだろう。
 それでいて全身で自分の様子を窺っているのがわかる。
 昨日のことを後悔しているのか。
 いや、違う。
 シイナ自身が後悔しているのではないかと、思っているのだ。
 フジオミに問いかけたかったが、端末が起動して、すぐに通信に切り替わる。
 シイナは端末に視線を戻した。
 確かに、エマージェンシーは医局からだ。
 コールを受け取り、医局との通信に入る。
 待機していたクローンの姿が映し出される。
「何事なの。こんな朝早くに?」
『申し訳ありません。ですが、私達も初めてのことで、どうしていいかわからず――』
 クローニングのことか。
 だが、それなら医局からエマージェンシーが入るのはおかしい。
 クローンの報告が、シイナに衝撃を与える。
「シロウが、倒れた――!?」











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