ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~
詳細は自分達も伝えることは出来ない。ただ、会って、報告しなければならない重要な事項があると伝えて欲しいと頼まれた。
クローン達の報告は、簡潔すぎて詳細がわからなかった。
深夜の研究区のラボで倒れ、医局に運ばれ、意識を失う前に頼まれたが、遅い時刻だったために、早朝にエマージェンシーコールしたということだった。
その報告に、シイナは蒼白になった。
まさか、シロウが倒れるなど思いもよらなかった。
自分が刺したあの傷口が感染症でも引き起こしたのか。
シロウからの衝撃の告白を聞いた後、逃げるように部屋へ戻ってから今まで、自分にはフジオミがいてくれたが、彼は、独りで研究を続けていたのだ。
逃げもせず、ただ、ずっと。
「――」
いても立ってもいられず、シイナは通信を終え、ベッドの脇に足を下ろして立ち上がる。
「医局に行ってくるわ。シロウの話を聞かないと」
寝室のドアに向かおうとするシイナの腕を、横に座っていたフジオミが止めるように掴んだ。
「フジオミ?」
「――僕とは? 僕も、君と話したいことがあるんだ」
フジオミはどこか不安げに見えた。
何を恐れているのだろう。
平静を取り戻した自分が、やはり彼を拒絶することを――?
自分も、フジオミと話をしなければと思っている。
だが、今はシロウのところに行かなくては。
シイナはフジオミの手に、自分の手を重ねた。
フジオミが驚いた表情で自分を見つめている。
「すぐに戻ってくるわ。私を待っていてくれる? 戻ってきたら、きちんと話をしましょう。私もあなたと話さなければならないことがあるから」
いつにない落ち着いたシイナの口調に、困惑しながらも、
「――わかった」
フジオミはそれだけを答えた。
フジオミが掴んでいたシイナの腕を放す。
完全に離れる前に、シイナはフジオミの手を握り返した。
そして、フジオミの部屋を出た。