ひとつ、ベッドの中
凌ちゃんの匂いがした。

お風呂に入った凌ちゃんからは、あたしの嫌いな匂いは一つもしなくて、あたしはそこに体を埋めた。


「電気消すよ、いい?」


「うん」


視界が途端に暗くなる。

だけど、豆電球の灯りがほのかに凌ちゃんの顔を映し出す。


凌ちゃんは普段真っ暗にして眠るけど、あたしが真っ暗なのが怖いのを知ってるから、必ず一つだけ灯りを残してくれる。


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