ひとつ、ベッドの中
視線を逸らしたくて、いまだ離してくれないシャーペンを諦め、手を膝の上についた。


瞳を見つめたら、心の中を覗かれてしまう気がして。


「恋わずらい?」


だけどそんな言葉に


「えっ、ちがっ……」


慌てて否定したけど逆効果だった。


「分かりやすー。今の違うは『そう』としか聞こえなかったけど?」


頷きながら阿部君は、悪戯っぽく笑った。

< 42 / 423 >

この作品をシェア

pagetop