ひとつ、ベッドの中
凌ちゃんが言う。


「お母さんにとっての1番の詩織を俺が奪うんだから……」


もう見えないお母さんが去った方向を見て。


「………」


返す言葉が見つからなかった。



凌ちゃんが奪うんじゃない。


あたしの、ワガママだ。



しばらくあたし達は黙っていた。


だけどなんとなく思っていることは一緒だと思った。

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