天堂と十六夜
番外編
地獄
「十六夜様、気をつけてください」
「え、えぇ…」
烏丸が十六夜の前を飛びながら進んでいる。今、二人が居るのは海に沿った崖の上。岩場で不安定な場所を歩いている十六夜のために先導する
「疲れたね」
「では、こちらで休みましょう」
大きな岩を見つけ二人で座って話をしていた。薄暗くなって辺りが見えなくなってくるが波が崖にぶつかる音だけが聞こえてくる
「十六夜様、お世継ぎは…」
「…そんな、すぐには」
天堂と祝言を挙げてまだ七日。早すぎる…
「早くお顔を見てみたいですな」
羽をぱたぱたさせながら、うんうん頷く烏丸に十六夜は微笑んだ
しばらく二人で談笑していたが何か巨大な妖気を感じた。立ち上がった途端に辺り一面に妖怪が…