天堂と十六夜
「総大将…」
十六夜が落ちていった崖を見下ろすと崖の突起に引っ掛かりひらひらと舞っているものがあり、気になった天堂は下まで行った
「これは…」
二人が出逢ってすぐの時に贈った白い襟巻き。その白い襟巻きは破れていたり血が付着していたりと、大怪我を負ったということが明らかだった
「総大将、申し訳ありません…」
白い襟巻きを額に当てている天堂の傍までやって来た烏丸は手当てをうけたがまだふらふらしている
「いや…お前も怪我してんだ、無事でよかった」
十六夜の生死が分からない、むしろ死の確率が高いのに自分の身を案じてくれている優しさに涙が出てきた。だが伝えなければならないことが
「総大将…伝えなければならないことがあるのです」
「……何じゃ」
「対峙した妖怪たちの狙いは十六夜様ではありませんでした。本当の狙いは、総大将。総大将に"次はお前の番だ、地獄で待つ"と」
「地獄…」