天堂と十六夜
その日は朝から夜まで探し続けたが手がかりはあの白い襟巻きのみ。何の収穫もなく本家へと帰還した
「十六夜…」
「総大将…」
夫婦の居室の前の縁側に座っていると十夜が不安な表情でやって来て傍に腰をおろした
「十六夜様は…」
「十六夜なら大丈夫じゃ、心配するな。ワシが見つける」
「……はい。俺も頑張ります」
「おぉ。絶対そのうち帰って来るからな。待っててやろうぜ……一日中探し回ったからな、もう寝ろ」
真剣な表情で頷いた十夜は頭を下げて自室へと戻っていった。天堂もしばらくそうしていたが自室へと入り襟巻きを自分の首へと巻いた
十六夜にまた贈ろう、と決めたため帰って来てすぐに井戸で血を洗い流して綺麗にした
「十六夜…」
襟巻きを贈ってそんなに日は経っていないのだが毎日着けているためもうすでに十六夜の香りがする