天堂と十六夜



十夜には心配いらない、と言ったが一番心配で不安なのはやはり夫である天堂


「…」



布団に寝転がると一日中探し回ったため自然と目蓋が落ちてくる



首に巻いた襟巻きに顔を埋めると十六夜の香りと温かさからついに眠りへと落ちた



朝、目覚めたとき十六夜が傍で微笑んでいることを信じて――










障子からの光で目覚めた天堂だが十六夜が居ない現実を突きつけられて一気に脱力した



「居る訳ねぇか……」



怠い身体を起こして向かったのは大広間。百鬼たちと十六夜を探しにいく時間だ



「皆の者、一つ伝えたいことが――あ、総大将、おはようございます。伝えたいことがございます」



「何じゃ?」



「実は仲間たちに頼んで辺り一帯を捜索してもらっておりました。その結果、十六夜様が落ちた近くの海の底から何やら多大な妖力を感じるとのこと」




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