天堂と十六夜



ほかにも小さな傷が無数もあったのに治癒している



『…ありがとよ』



笑った天堂に十六夜も微笑み返して天堂の頭を抱えるようにして抱いた


とても温かくて心地よく、手を回して抱き着いた。幻のはずなのに手応えがあり現実なのでは、と疑ったほどだった


抱き締められてさらに力がみなぎってくる。しばらく抱き合っていたが十六夜が放して天堂の頬に両手を添えて唇に触れるだけの口づけを



"絶対、大丈夫。皆を信じて…進みなさい"



『十六夜…』




急に辺りが眩しくなって十六夜の姿が見えなくなった



『十六夜!…十六夜っ』



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はっと目が覚めたのは夜中だった


「総大将!」


「総大将、良かった!…庇ってくれてありがとうございます!」



身体が嘘のように軽く痛みもない。ぐるぐる巻きの包帯を外してみるとあれだけの傷が無くなっていて百鬼たちを唖然とさせた




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