天堂と十六夜
「傷がねぇっ」
「さすが総大将だ!」
わいわい騒ぐ百鬼たちの声を聞きながら天堂は両手を見つめた
この手に抱き締めた十六夜の温もりも、触れるだけの口づけの温もりも残っている
「現実か…」
「総大将?どうしたの?」
ふっと笑った天堂を不思議に思った百鬼が問い返すと天堂はさらに笑った
「あの世に渡りかけたワシを十六夜が引き留めて傷を治してくれた…」
それを聞いた途端、シーンと静まり返り、すぐにわっと歓声に湧いた
「十六夜様、すげぇ!」
「てことは、十六夜様は無事ってことですかい!?」
目をきらきらさせる百鬼たちに頷いた天堂は説明した
「生きてる、ただ囚われてるらしい。場所までは言わなかったが地獄に居るに違いねぇ」
行くぞ、と早速立ち上がった天堂に傷を負っていない百鬼たちは着いていく
「十六夜十六夜…アタシだって駆け付けて手当てしてやったんだぞ?礼の一つや二つは当たり前だろ?」