天堂と十六夜
口端をにやりと上げた獅蛇を合図に百鬼夜行と地獄妖怪の二回戦が始まった
獅蛇が蜘蛛の糸を指先から伸ばすと離れている妖怪までもが真っ二つになる
「総大将、先に行ってください!」
妖怪たちに紛れて十史郎が先導して行くが十史郎は向かって来る妖怪の足止めにまわり、天堂だけ行かせた
広かった地獄だがどんどん奥に進んでいくと道幅が少し狭くなっていてそこを通り抜ける。するとまた広くなる
「十六夜!!」
崖に赤く点滅している突起物があり、一際巨大な妖怪が踞っている。だが天堂の声に身体を持ち上げる
その妖怪は身体は茶色。目はぎらぎらと光る赤。蛇だが百足の足がある。そして特徴的なのは蝙蝠のような黒い羽根があること
『来たな、だが十六夜は渡さない。地獄を維持するには強大な力が必要なのだ。十六夜の意識は無いように見えるがあの女も我等と闘っている……十六夜は闘い、苦しみ続ける、地獄を維持するためにな 』