天堂と十六夜
「はぁ、はぁ…」
切れた口内の血をぷっと吐いて刀を構える。ちらっと結晶に目を向ける…
「早く出してやるからな…」
だっ、と素早く走りながら連続的に斬撃を放つ。しばらく繰り返したが喉を鳴らしながら、さらに鋭くなった目で睨む
「効かねぇ、な」
地面に刀を突き刺して額に鞘をつけて膝を着く。乱れる息を整えながら考える
十六夜と祝言を挙げたが早かったのではないか。いや、それ以前に愛した女一人を守れずに夫婦に…笑止なことだ
後悔させているのだろうか?
十六夜を助けると意気込んだがこの状態でそんなことを考えていることに自嘲じみた笑みを浮かべた
情けなくなって力が入らない。十六夜に貰った命…