天堂と十六夜
次の日十六夜は買い物に行くことを告げ異界へと向かった
洞窟に入った瞬間、ぶわっと漂っている妖気に慣れたものだ
そして馴染みの店へと入り品定めをして食材を買って籠に入れてもらい、店をあとにした
緩やかな流れの川に架かっている石橋を渡っていると具合が悪そうに木に手をついている人型の男の妖怪がいた
すぐさまかけ寄り木に凭れさせ、川で手拭いを濡らして額、頬、首に当てて冷やしていた
すると男はうっすらと目を開けた
「ぅ、……あなたは…?」
「通り掛かった者です。少々暑かったので体調を崩したのかもしれませんね」
男は額に置いてあった手拭いを取り、看病してくれていた女を見て絶句した