天堂と十六夜
「?」
何かを言おうとしていたが言葉につまった天堂を待つ十六夜だが、首を振って十六夜の胸辺りをとんとん、と優しく叩いていたら十六夜の目蓋は閉じていった
「…ありがとな、ゆっくり休め」
死の淵から救い出してくれた十六夜。恐らく危機を察してあの結晶の中から魂だけでも抜け出して救いに来てくれたのかもしれない
だが十六夜が覚えていないならわざわざ言うことでもあるまい
方膝を立て肘を乗せて、本格的に登り始めた陽に目を細める天堂。そのため寝ている筈の十六夜が少し微笑んだことに気づいていなかった――
天女なんて、大袈裟ですよ――