天堂と十六夜
悪夢
「十六夜~」
「…」
「だ~れじゃ」
「っ、何すんじゃこの変態ー!」
「ってぇ!は、え、十六夜!?」
「どこでも盛ってんじゃねぇよ」
春、うららかな日差しに一日中日向ぼっこしたくなるような日々が続く。縁側を歩いていた十六夜に声をかけて後ろからむぎゅっと抱き着いた天堂の手は十六夜の胸に…いつもなら胸を触られていることに少し注意されるがそれでも大人しく腕の中におさまってくれているが今回は違った。叫ばれて十六夜の肘が天堂の頬に直撃した。いつもと違う十六夜に頬の痛みを忘れて呆気にとられていると十六夜はものすごい眼力で睨んできてさっさと行ってしまった
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「ぐす、っ、のぅ神楽…嫌われたんじゃろか…」
神楽も遠くから目にしていたため、そりゃもう落ち込むなんてそんな軽いものじゃない天堂を縁側に座って慰めていた
「そんなこと、ない、と思います…でもいつもの十六夜様と違いました。十六夜様、怒鳴らないし、況してやあんな口が悪くないですし…」
これは本当に思っている。だが内心あんたがいつも所構わずいちゃつきたがるからだ、とも思っている