天堂と十六夜
「今日は百鬼夜行、やめますか?」
「…いや、やる」
しっかり務めを果たしていけば元に戻ってくれるかもしれない。帰って今まで至らなかった部分は謝ろう…そんな天堂の考えは呆気なく崩れ去る
「は!?居ないじゃと!?」
百鬼夜行に行く前、神楽と帰ると百鬼たちはすぐに庭に集まっており十六夜を呼んでこい、と告げたが十六夜はどこかに行ったのか居なくなっていた。胸ぐらを掴み顔を近づけてくる天堂のあまりの剣幕に百鬼たちはたじろく
「へ、へぇ…何時間も前、夕方くらいですかね………総大将、どうしたんですかい、よくあることじゃないですか。十六夜様は総大将を想ってますって」
百鬼を力なく放した天堂は頭を抱えた。不貞ではない…乱心したのだ。いや、あれだけ変われば不甲斐ない自分は捨てられてしまうかもしれない
「総大将疲れてるから今日は中止だ。いいですね」
不安でとうとう立ち上がれなくなった天堂を神楽が支え百鬼たちに命令し天堂を夫婦の部屋まで運ぶ
「おい、最後の総大将を想ってますっては余計に総大将の心を抉ったぞ」
「え?」
「十六夜様に限ってんなことあるか。総大将の心配事が増えただけだ」
「総大将、悪い…」