天堂と十六夜



「夏だからって風邪ひくぞ?」



後ろから声が聞こえ、頬にふわっと風をが感じると隣に天堂が座った。そして薄い羽織を肩にかけてもらった十六夜は笑った


「…ごめんなさい、起こしちゃいました」



「何謝ってんだよ?」


「百鬼夜行で疲れてるのに…」


それを聞いた天堂は寝ている桜李の頭を撫でながら笑った



「んなこと気にすんな。一人で何でもしようとするなよ?お前一人の子じゃねぇんだ。"ワシと十六夜"、二人の子じゃ」


そのまま十六夜の肩を抱いて引き寄せた天堂に十六夜は笑って肩に頭を乗せた



確かに母親だからって一人で頑張りすぎていたのかもしれない


自分だけが親ではない。このひとと二人で桜李の親なのだ。もう少し甘えてもよかったのだ


「そう、ですね…ありがとうございます」


「おう、疲れてるとか気にすんなよ?十六夜が迎えてくれて、一緒に居るだけで疲れはとれる」


その言葉が嬉しい十六夜は頭を離して天堂の唇にそっと口づけた。天堂も肩に回した腕に力を込めてそれに応える



ひとしきり互いの唇を味わった二人は本家に戻り寝転んだ




「おやすみなさい」


「おう、よく寝ろよ」


十六夜は天堂の腕の中ですぐ眠りにつき、天堂は十六夜と桜李がよく寝ている様を目を細めて見つめていた








―――毎日ありがとよ、ゆっくり休め










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