天堂と十六夜



次の日、桜李を抱いて異界に来ていた十六夜だがさっそく妖怪たちの注目を集めていた




おい、十六夜様が赤子抱いてるぜ!

てことは、百鬼夜行総大将との子!?

それ以外にないでしょ!

でも…顔がよく見えないわ




周りの妖怪からはお包み(くるみ)しか見えなかったがそれは赤子だということは一目瞭然である


十六夜が桜李に何か言ったり指を差し出したりすると、声をあげたり小さい手を十六夜に伸ばしている



それを見ている妖怪たちは微笑ましく思っていた




十六夜はゆっくり歩いて桜李も初めて見る景色に興味津々で上機嫌のようだ


十六夜が歩いていく道は自然と開けていき歩きやすかったが視線は変わらない。だがせっかくの外出なためあまり気にしないようにしていた



十六夜は一軒の店に入った。そこには玩具や土産物が置いてある店で十六夜の姿を捉えて店主の男が慌てて頭を下げた



「いいい十六夜様っ、この度はおめでとうございます!」


「ありがとうございます」


桜李の誕生のことを言われていると分かった十六夜は微笑んで礼を告げた



…忽ち、主人は赤くなる
















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