天堂と十六夜
十夜に礼を告げて天堂と桜李で自室に入ると桜李はすぐに眠ってしまった
いつもの、見慣れた景色と両親がいるということで安心したのだろうか
「どこも怪我してねぇか?」
天堂は桜李を小さな布団に寝転ばせ、十六夜の隣に座った
「うん、あなたがすぐに来てくれたから」
そうか、と笑って十六夜を抱き締めてちゅっと口づけた。桜李が起きないかと気にしていたが十六夜は抱き締めてくれる温もりに身を委ねていた
「桜ちゃん、だったのよね…」
「あぁ…そうじゃな」
大泣きした桜李の泣き声に妖怪たちは苦しみ出した。桜李の力は当然、百鬼夜行側の力になる
「十六夜が…母親が危ねぇってのが本能で分かったんだろうな」
「……桜ちゃん、ありがとね」
胸に寄りかかり桜李の頭を撫でる十六夜に天堂は笑って十六夜を強く抱き寄せた
「十六夜…ワシの子を命懸けで産んでくれてありがとな」
天堂の声色に十六夜は胸から顔をあげたが天堂は桜李を見ていた