天堂と十六夜
「くーっ、もういい、寝る!」
足についた砂を払いながらどすどすと音を立てて自室の障子を開けて入り、乱暴に閉めた
「かあちゃん、あそびに行ってくる!」
天堂をまかしたことに満足した桜李は十六夜の膝から退いて立ち上がった
「日が沈まないうちに帰って来てね」
「はーい」
走って行く桜李を見送って天堂が居る自室へ入るとこちらに背を向けて寝転んでいた
その後ろ姿からは明らかに不貞腐れているのがまる分かりだった
「機嫌なおして…桜ちゃんが相手でしょ?」
傍に座った十六夜が天堂の肩をとんとん叩くとゆっくりと寝返りをうった
「そいつは分かってるんだけどよ。あいつはかあちゃん子……あいつの気持ちが分かる」
「うん?」
「十六夜が好きで好きで仕方ねぇって気持ち」
ふふっと笑って十六夜は起き上がった天堂の頬を両手で挟んで優しく口づけた。そして天堂の後頭部に両手を添えて胸に預けさせてぽんぽんした