天堂と十六夜



本を閉じた桜李を膝に乗せた十六夜が頭を撫でていると口を開いた



「かあちゃんは、とうちゃんとおれどっちが好き?」


「ん?二人とも同じくらい好き」


それを聞いた桜李は少し俯いた


「おれ、かあちゃんが大好きだよ」


「ありがとね。お父さんは?」


「とうちゃんも好きだよ…でもかあちゃんばっかりとるから、いやな時もある」



それを聞いた十六夜は悟った。嫌いなのではなく自分とも遊んでほしい、という構ってほしい気持ち。だからつんけんした態度をとったり蹴落としたりと…



父親と子の絆は、母親と子の絆が築かれた後にだんだんつくられていくと聞いたことがある



今は、その段階なのだ




「桜ちゃん、お父さんと遊びたいんだね?」


「……うん、」



顔を真っ赤にして俯いた息子が可愛くて仕方ない、思いっきり抱き締めた十六夜



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