天堂と十六夜
「いえ、力になれるので嬉しいです」
微笑んだ十六夜に女も頬を染めつつも披露する場所へと向かった
店の中では無く、通されたのはものすごく広い庭園だった
細い川が流れており、桜の木が聳えてその下に赤い敷物があり琴が置かれていた
ある一定の距離をあけて、たくさんの観客たちが今か今かと待っている
だが十六夜と天堂が現れたのを見てものすごい歓声があがった
「天堂様はこちらに」
天堂は特別に近くで見れるようにと別の場所へと案内され、十六夜は琴の前に座った
始まることが分かると先程までの歓声が嘘のように静まった
そして弾き始めた十六夜を見たり、調を聴いてうっとりする者も現れた
十六夜もうっすらと微笑んで弦を弾いている
そんな十六夜を優しく見つめている天堂は心が穏やかで天堂も無意識に微笑んでいた