天堂と十六夜
十六夜は何も言わずに顔を上げ、庭に見事に咲いている色とりどりの花を眺めた
それを不思議に思った天堂は起き上がり十六夜と向き合って座った
「…欲しくねぇのか?」
少し声色が沈んだ天堂に十六夜はそれは違うと弁解する
「もちろん欲しい…でも百鬼夜行でなかなか休めないから休めるときに休んでほしいです……それにこればっかりは、授かり物ですから」
にっこり笑った十六夜が儚く見えて、自分の身体を案じてくれていることが嬉しくて何より愛しかった
十六夜をゆっくり抱き締めた天堂は優しい声でぽつりぽつり、と話し始めた
「ワシは大丈夫じゃ……早く欲しい…ワシも努力するからな」