天堂と十六夜



十六夜は夫婦の部屋に籠って考えていた


愁穂のあの笑みは本当に冷たくて恐ろしいものだった


思い出すだけでも気分が悪くなって不安になる



どうすればいいのだろう。


少なくとも好意を抱いてくれているのだから冷たくあしらえない。だからと言ってずるずると引っ張れば何をしてくるか分からない


どんな手段にせよ、早く片付けなければならないだろう



あのひとが心配だ。愁穂は恐らく天堂に何かしら仕掛けてくるだろう。あのひとなら負けることはないだろうが、やはり心配だ



私はあのひとを守りたい……



「あなたは、私が守ります…」



その場に寝転がると自然と目蓋が落ちていく


百鬼夜行が帰ってくるまで十六夜は寝ていたが帰って来たことが分かると自室を出て迎えた


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