天堂と十六夜
天堂は部屋の前の縁側に座って指を組み、額に当てていた。十六夜の無事を祈っているようで百鬼たちも大広間でうろうろしたりしていた
布団に寝かせて診察していると十六夜が目を覚ました
「十六夜様、体調はどうですかな?」
「雁蔵、さん……さっきよりはだいぶ…」
「そうか、よかったわい……十六夜様」
真剣な声で呼ばれて雁蔵の顔を見ていると不安になってしまったが、やがてその顔をくしゃくしゃにして微笑んだ
「おめでとうございます……懐妊なさっておられますぞ」
懐妊……
「赤ちゃん…」
「はい、授かっておられる…月のものが無かったのでは?」
「ぁ、はい…」
病気ではなく、授かっているということに嬉しくなり涙が出そうになったが必死に堪えていた
泣いていては驚かせてしまう
泣くのは"あのひと"と一緒に…