天堂と十六夜
「鶴さーん、居るかい?」
天堂は雁蔵と鶴の家を訪ねていた。外で呼ぶと雁蔵が出てきてびっくりしたように天堂の胸ぐらを掴んだ
「そ、総大将自ら!十六夜様と腹のお子に何か!?すぐ行きまする!」
慌てて戻ろうとした雁蔵の首根っこを掴んで止めさせてここに来た理由を話した
「…左様でございましたか。少しお待ちくだされよ……上がってくだされ。呼んで来ます」
……十六夜様は、幸せ者じゃな
杖をつきながら上がった雁蔵の後を追い、縁側に座った。ここからは辺り一面草木がありのどかで静かに暮らしたい老夫婦にはうってつけ
日向ぼっこをしていると庭から鶴がやって来て天堂を見て頭を下げた
「まあまあ、わざわざ来ていただいて…うちのひとから聞いております。少し待って下さいね」
鶴は笑って自室に行き目的の物を持って縁側に戻った
「では、始めましょうか」