天堂と十六夜
「具合は?」
「だいぶいいの…少しだけ起きてもいいかしら」
「…大丈夫か?少しだけならな」
布団をはぐって十六夜を支えて縁側に二人で座った。久しぶりのそれに二人の心は穏やかだった
肩を抱き寄せると十六夜はこてん、と天堂の肩に頭を預けて目を閉じた。それはすごく気持ちよくて、寝ていないのにまるで夢をみているようだった
"はぁ、いいなぁ"
"総大将の幸せそうな顔初めてだ"
"本当お似合いだな"
「十六夜」
体調が安定して来た頃、十六夜は動きたいと思うようになり縁側に座っていた。天堂は手に白いものを持っていて十六夜の目を丸くさせた
「これ……」
隣に座った天堂は十六夜に頑張って作った腹帯を手渡した。十六夜が隣の天堂を見上げると照れ臭そうに俯いた
「鶴さんに教わったんじゃ…十六夜が頑張ってるからワシも何か一つ頑張りてぇって、十六夜の助けになれるもんがいいなと思った」
「ずっと…?」
「ん?…あぁ、毎日少しずつな」