天堂と十六夜
「まぁ、あんま綺麗に出来てねぇけどな…」
端が解れたりしているところがある。天堂はずっと腹帯を見ていて十六夜がどんな表情をしているか分からなかったが何も言わないため顔をあげて十六夜を見ると
「……十六夜」
十六夜は微笑んだまま涙をぽろぽろと流していた。だが耐えられなくなったのか腹帯を顔に当てて喉が震えた
「ううん……初めてなのにっ、縫い物なんて……嬉しいですっ、ありがとうございますっ」
縫い物なんて男がするものではない。況してや天堂は不器用だ。その天堂が悩みながらひと針ひと針大切にしている姿を想像すると胸が熱くなる
しゃくりあげる十六夜を抱き締めて頭と背中を撫で続けた
「頑張ります…」
何も言えなくなった天堂は返事をする代わりに十六夜をさらにぎゅっと抱き締めた
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