天堂と十六夜
「十六夜殿…ずっとお会いしたかった」
頬を撫でる愁穂は笑っているがそれは恐ろしいものでしかなく、腹が大きい十六夜は直ぐに動けずどうすることも出来なかった
十六夜を拐おうと掛け布団を剥いだ愁穂は大きくなった腹を見て冷たく笑った
「やはり身籠っていらしたのか…構わない、どうにでもできる」
十六夜はその言葉に背筋が凍りついた
赤ちゃんを殺すつもりだ……
あのひととの赤ちゃんを失いたくない
そう分かった十六夜は逃げようとするが十夜同様に身体が動けず話せなかった
「十六夜殿、参りましょう」
十六夜を抱え部屋を出て十夜の横を通り過ぎたとき十夜は動けるようになったため大太刀で攻撃したが十六夜が居るため強くは出来ない
「十六夜様に触れるな!」
愁穂が振り向き、手を翳したときまたもや吹き飛ばされた
愁穂も刀を持っており斬撃を次々に放つ
それでもなお十夜は血だらけで立ち上がる
「い、ざよ、い様をっ……は、なせ!」
話す度に口から血を吐く十夜に一撃を放ち、十夜も十六夜に当たらないように渾身の力を込めて斬撃を放った
十夜の斬撃が愁穂の腹、背中、足首に命中したが十夜は全身に命中しついに倒れた
「いざ、よい……様…っ」
薄れていく意識のなかで十六夜の名を呼んだ――