天堂と十六夜
「何だ、これは……」
嫌な予感がして全速力で帰って来た天堂や百鬼たちは目の前の光景に絶句した
ぼろぼろになった本家
瓦礫の上で気を失っていた十夜に駆け寄った天堂は十夜の悲惨さに目をそらしたくなったが抱き起こして名を呼ぶと息も絶え絶えに目を開けた
「総、大将…っ…ハァ、ハァ……すみ、ませっ…いざ、よい…様をハァ、っ守れなか、っ…!」
悔し涙を流しながら謝る十夜に天堂は制した
「何謝ってんだっ、こんなになるまで…よく戦ったなっ…無事ならいい。十六夜はワシが必ず連れて帰ってくる!だがら手当てしてもらって休め」
力強い言葉に安心したように目を閉じた十夜を神楽に任せた
留守を守っていた百鬼たちを翔炎たちが次々に大広間へと運んでいく
「神楽、ワシは行ってくる」
「一人でですか!?」
「あぁ、ついて来なくていいぞ…」
この様を見ればどれだけ危険な相手か分かる。百鬼たちをこれ以上傷つけさせてはならない
百鬼たちに雁蔵を呼ぶように指示して天堂は十六夜の気配を追って一人本家を飛び出した
「十六夜、無事でいてくれ…」