天堂と十六夜
十六夜はずっと続く苦痛に耐えて戦っていた
愁穂は子だけを葬るつもりだがこのままの状態が続けば十六夜も死ぬことになっとしまう
いや、恐らく愁穂の考えの最終段階は十六夜を殺すことだろう
「十六夜殿の苦しむ姿は見たくないが、仕方なきことです…もうすぐだ」
私はどうなってもいいからこの子は――
呪詛の途中で意識が途絶えれば最期だと思い必死に気を保っていたが駄目かもしれない
……力が入らなくなってきている
ごめんなさい――
ツー、と涙を流した途端に爆音がして洞窟が揺れた
地震がおこっているのかと思ったがそうではなかった
「ぐっ、!」
愁穂の苦しむ声が聞こえ呪詛が解けた。呼吸が出来るようになり、一気に力が抜けて虚ろな目にはっきりと映ったのは十六夜をその背中に庇っている天堂だった