天堂と十六夜
前鬼と十史郎に抱き抱えられている十六夜は汗を流れるほどかいていて、気絶していたため百鬼たちは愕然とし二人に詰め寄った。だがすぐに安静にしないといけないため神楽がとめた
二人は夫婦の部屋に敷いている布団に十六夜をそっと横たえて待機していた雁蔵を呼んだ
「雁蔵っ、すぐに頼む!」
「分かっとるわい、静かでなければ診察もできん…しばらく出ていてくれ」
心配だがそう言われれば出ていくしかなく百鬼たちは仕方なく大広間へと向かった
「…十六夜様、大丈夫なのかい」
しーん、とした雰囲気に耐えられず神楽は誰に問う訳でもなく呟いた。百鬼たちもそれに答える訳でもなく俯いた
「十六夜様なら…大丈夫だ」
何分経ったか分からないがしばらく沈黙が続いた。やがてゆっくり顔をあげた十史郎の力強い声に百鬼たちは十史郎を見た
そうだ、十六夜様は大丈夫だ!
ああ、あの方なら心配ない…
総大将の嫁さんだからな!
十史郎の声に励まされるように百鬼たちは祈り始めた。神楽も頷いて雁蔵の報告を待った