天堂と十六夜



「十六夜…」



眠っている十六夜の片手を両手で包み込み額へと押し当てた




夫婦になって少し、あの海で誓った。十六夜と子を守ると。その矢先こんなことになり自分の無力さを感じどうしようもなくなる




「ワシは何も出来ねぇがこうして、手を握って話しかけることはできる。だから…早く目ぇ覚ませ……」



雁蔵が元気な子だけを取り上げても意味がない


十六夜が生きていなければ……



「十六夜、言ったよな?ワシを守ってくれるってよ…」




女に守られるのは正直くすぐったい…だが守ると言ったのだ


死んだら意味ねぇぞ…?傍に居なければ意味がない



ワシを守りたいなら目を覚ませ…


十六夜……




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