天堂と十六夜




百鬼夜行から帰って来て雁蔵と交代した天堂は十六夜の手を握っていた


「相変わらず綺麗な手じゃな…」


天堂が親指で十六夜の手の甲を撫でていると指がぴくっと動いた



「十六夜?…十六夜っ、十六夜っ!」


名前を呼び手を揺すっていると小さな声が聞こえゆっくりと目を開けて天堂を捉えた



「あ、なた…?」


「十六夜っ」


天堂は身体を折り曲げて十六夜を抱き締めた



十六夜も弱々しく背中に腕を回してゆるゆると上下に擦った



「…何ともねぇか?」


身体を離して心配している表情で覗きこむ天堂にふわっと笑った



「ちょっと…身体が怠いけど、大丈夫です…」



そうか、と肩の荷が下りた天堂はようやく心から笑えてちょうど雁蔵が入ってきた






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