天堂と十六夜



天堂には微笑んで目を閉じている十六夜が今にも消えてしまいそうな、儚く見えてならなかった。こんなにも美しい女が母になろうとしていることが信じられなかった



夫婦になって時間が経つが本家を訪れた傘下や幹部たちは十六夜を見るたびにその容姿に、動作に、儚さに見惚れてほうっと息を吐く


未だに何度も言われる



"若すぎる"



確かにまだまだ若い。人間でいえばまだ二十歳にも満たない。だがその若さでこの儚さが出せるのか…その儚さに惹かれた



目を離せば天に昇って行きそうな…



「…た、…あなた、どうしました?」



「ん?いや、何でもねぇよ」



顔にかかっている白銀の髪を一房耳にかけてやるとくすぐったそうに肩を竦めて笑う



大きくなった腹に手を回して耳を近づけると心地よい心音。それに笑って十六夜から離れて額に唇を当てる



ごほんっ!!




大きすぎる咳払いが聞こえて振り返ると雁蔵が立っており、渋々退いた。そしてあとに続いてすぐ現れたのは老婆




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